○小城市手話言語の普及及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例

令和7年3月13日

条例第10号

障がいの有無にかかわらず、地域で安心して暮らしたいという思いは市民の共通の願いである。その実現に向けて、お互いに理解し合うことが必要であり、言語をはじめとしたコミュニケーションの手段は、意思疎通を図り、情報を得る上で大切な役割を担っている。

その中でも、手話は、手や指、体の動きなどを用いる独自の言語体系を有し、ろう者とろう者でない者が、互いの人権を尊重して意思疎通を行うために必要な言語である。しかし、過去には、読唇と発声訓練を中心とする口話法による意思疎通が推し進められ、手話の使用が制約された時代もある。

我が国が平成26年に批准した障害者の権利に関する条約においては、手話が音声言語と同じく言語であることが明確化されているが、手話言語に対する理解は十分には進んでいない状況である。

このような状況において、ろう者のコミュニケーション手段である手話は、ろう者が日常生活を営むために欠くことのできない言語であるということを踏まえ、手話を言語として明確に位置付け、市民の理解を深めていく必要がある。

また、障がいのある人が、日常生活において意思疎通を円滑に図るために、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を選択して利用することが大切であり、コミュニケーションの手段についての理解を促し利用しやすい環境を整えていく必要がある。

これらのことから、手話が言語であることを普及させるとともに、障がいのある人が必要とするコミュニケーション手段の利用を促進することにより、誰もがお互いに人格と個性を尊重し、地域で支え合いながら安心して暮らすことのできる共生社会を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話言語の普及及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、その総合的かつ計画的な施策を推進することで、障がいの有無にかかわらず全ての市民が心を通わせ、互いの人格及び個性を尊重し合い、もって全ての市民が安心して暮らすことができる共生社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障がい 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がいをいう。

(2) コミュニケーション手段 手話言語、要約筆記、筆談、点字、音訳、拡大文字、平易な表現、実物や絵図の提示、身振り、情報機器その他の障がいのある人が、日常生活及び社会生活において情報の取得並びにコミュニケーションを行う際に必要な手段として利用されるものをいう。

(3) 市民 市内に居住する者及び市内に通勤又は通学する者をいう。

(4) 事業者 市内において事業又は活動を行う法人その他の団体をいう。

(5) ろう者 手話を言語として日常生活及び社会生活を営む者をいう。

(6) コミュニケーション支援者 手話通訳者、要約筆記者、点訳者、音訳者その他の障がいのある人の意思疎通の支援を行う者をいう。

(7) 合理的配慮 社会的障壁(障がいのある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。)の除去を必要とされる場合に行う適切な現状の変更及び調整であって、その実施に伴う負担が過重でないものをいう。

(基本理念)

第3条 全ての市民は、障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものとする。

2 手話言語の普及は、手話が独自の言語であって、ろう者が日常生活及び社会生活を営むために大切に受け継いできた文化的所産であるという認識を基本として行うものとする。

3 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、全ての市民が障がいの有無にかかわらず、相互の違いを理解し、人格と個性を互いに尊重することを基本として行うものとする。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話言語の普及及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を推進するものとする。

2 前項の規定による施策の推進に当たっては、関係団体、県等と連携を図るものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるとともに、障がいのある人が障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を利用できるようにするために、合理的配慮を行うものとする。

(施策の推進方針)

第7条 市は、第4条に規定する責務を果たすため、次の各号に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 手話言語に対する理解の促進及び手話言語の普及に関する施策

(2) ろう者その他の障がいのある人が、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を選択することができ、かつ、利用しやすい環境の整備に関する施策

(3) コミュニケーション支援者の養成及び確保に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

(学校等への支援)

第8条 市は、教育又は保育の場において、コミュニケーション手段に対する理解を深める機会の確保を図るため、学校等(小学校及び中学校並びに保育所等をいう。)に対し情報の提供その他必要な支援を行うよう努めるものとする。

(非常時の支援)

第9条 市は、災害その他の非常時において、障がいのある人に対し、コミュニケーション手段による必要な情報の提供その他必要な支援を迅速かつ的確に行うよう努めるものとする。

(委任)

第10条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和7年4月1日から施行する。

小城市手話言語の普及及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条…

令和7年3月13日 条例第10号

(令和7年4月1日施行)