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No.26「2022年、令和4年の下半期を振り返る」~定例教育委員会教育長報告より~【令和4年12月28日】

更新日:2022年12月28日

2022年、令和4年が間もなく終わろうとしています。
新型コロナウィルス感染症の拡がりについては、間もなく丸3年が経過しようとしています。現在は、第8波の感染拡大も見られますが、コロナ禍にあっても、経験と学習により、3年ぶりに開催する行事も多くありました。人の力は強くたくましく、知恵を出し合い、工夫しながら「新しい教育・文化」の創造へと、その繋がりを感じています。
 
教育長コラム25号でも書きましたが、小城市教育委員会では、毎月第4木曜日(特別な事由がある場合は、変更もあります)に定例会を開催しています。その会議の冒頭に教育長報告がありますが、その際に私の所感も含めて、その月の事業や状況を報告しています。
今年の後半を振り返るとともに、私自身新しい年に向けて、小城市の教育行政における方向性を見出していきたいと思いましたので、この半年の報告書の一部、前文のみをご紹介させていただきます。

*7月(2022.7.28)教育長報告より*

今年は、6/11に梅雨入り、6/28に梅雨明けという短い梅雨の期間でした。この数年間の7月は全国的に毎年のように大雨により、大きな被害に見舞われ、凄まじい自然の猛威に怯える月となってます。今年の上旬は、台風4号が北部九州に上陸する予報もあり、市内小中学校は臨時休校の対応を取りました。大きな被害等はなかったものの、ほかの地域では、局地的な大雨になったところもあったようです。毎年「想定をはるか超える大雨」になっており、どのような対応をするべきなのか。それは、「空振りでも早めに避難し安全な居場所を確保」をするしかありません。重ねて新型コロナウィルス感染症対応とともに、通常の安心・安全な生活ができるように、確かな情報を共有し、人々の協力によって取り組んでいく必要性を感じています。
7/2~3は、梅雨明け後の暑い環境下で、小城多久地区中学校総合体育大会が開催されました。子どもたちが仲間とともに日ごろから一生懸命に、目標を目指して取り組んできた姿を見ることができました。その練習の成果を発揮できた発表の場があったことは、本当に良かったと思います。また、学校訪問では、感染症予防対策をしながらも、先生方と子どもたちがしっかり向き合って授業が展開されており、子どもたちの笑顔やその現状を見ることができて大変うれしく思いました。引き続き、人と人との関係を大切に保ちながら、各学校における日々の授業の工夫改善が学力向上に繋がっていくことを期待しています。

 
2022.7.1(金)佐賀県市町教育委員会連合会総会/表彰式 今村統嘉前教育長 2022.7.2(土)地区中体連サッカー競技(牛津中学校G)
佐賀県市町教育委員会連合会総会/表彰式 今村統嘉前教育長 地区中体連サッカー競技

*8月(2022.8.25)教育長報告より*

昨年の8月は、第5波のコロナ禍の中東京オリンピックが開催されましたが、今年は第7波というこれまでにない感染拡大がある中であっても、小学生の大会、中体連、高校総体や吹奏楽、合唱コンクール等、県大会、九州大会、全国大会とさまざまな行事が開催されました。
また、今年の夏で戦後77年目を迎えました。「平和の願いを後世へ」という節目の日(8/6、8/9、8/15)を迎え、今年はウクライナ情勢のこともあり、平和教育において戦争体験の継承とともに、「戦争のない平和な社会」を永遠に持続させるために、私たちは今何をすべきなのか、大人も子どもも共に考え、行動することが大切であると思います。
*8月は佐賀県「同和問題啓発強調月間」です。3日の小城市人権・同和問題を考える講演会、5日の佐賀県人権・同和教育研究大会では、改めて、部落差別の現実を考える機会があり、引き続き私自身が当事者意識を持ち、全ての人が安心して生活できる差別や偏見のない社会を目指して、教育・啓発に取り組んでいきたいと思います。
 
◎「差別をされる人」がいるから、「差別する人」が出てくるのではなく、「する人」がいるから「される人」が生み出される。
◎「安心・自信・自由」の気分が壊されることを「人権がなくなる(奪われる)」⇒体験した「いやな出来事」⇒「思い当たること」
◎人権問題を、昔のこと、よそのこと、他人事と感じてないか?
◎「それは、おかしい」「それはひどい」と気づく人がいて、一緒に考える仲間がいて、それは、個人的な問題ではなく社会問題・人権問題であるという認識が広がる⇒解決するための行動が生まれる。
◎知識は気づきの幅を広げてくれる。気づきに必要な知識や感受性がなかったら、そして、相談したり考えたりする仲間や効果的な行動(スキル)がなかったら、問題は「ない」ことになってしまう。
◎「NO」(嫌だ)「GO」(逃げる)「TELL」(相談する)のスキルを身につける。⇒私たちは、人権(生存と尊厳)を奪われない権利がある。

2022.8.23(火)小城市学力向上研究会全大会(晴田小学校)
小城市学力向上研究会全体会(晴田小学校)

 

*9月(2022.9.29)教育長報告より*

今月初め、9/6は台風11号の接近で臨時休校・休園になりましたが、大きな被害もなく安堵しました。しかし、その後の中旬の三連休では、台風14号の接近で「過去最強の台風」という情報もあり、不安な日々を過ごすことになり、九州を中心に日本中に大きな影響を及ぼしました。2年前の9/7は同じような情報が出た台風10号で、昨年の9/17は台風14号の接近で、いずれも臨時休校の対応を取りました。今回は、事前の防災対応が被害の軽減につながったとの声もあり、毎年この時期は大雨、台風に対する不安がありますが、私たち一人一人の事前の対応の意識を高めることやできる範囲での事前の対策を講じることの必要性を強く感じています。
また、7月から8月にかけてコロナ感染拡大の第7波の中で、小中学校は実りの多い2学期がスタートしました。このような自然の脅威も念頭に入れながら、かつ感染症の不安を抱えながらも、学校や園の行事については、それぞれの場所で教育・保育の活動において重要な体験・経験であることを認識し、多くの人の知恵と協力でさまざまな対策を講じ工夫しながら、さまざまな教育活動がその成果発表の場として、可能な限りで実施、開催されていることに改めて感謝しています。
子どもたちにとって、コロナ禍のこのような環境において体験的な活動が不足している中で、今後の厳しい社会を生き抜くために必要な力を身につけるためにも、できる限りの教育活動を通して、「笑顔」が輝き、仲間とともに協力しあって、「生き抜く力」を育む取り組みに引き続き支援していきたいと思います。

 
2022.9.22(木)小城多久地区駅伝大会
小城多久地区駅伝大会

*10月(2022.10.28)教育長報告より*

令和4年度の上半期を折り返して、いよいよ後半の下半期に入りました。市議会では、昨年度事業の決算認定していただき、教育委員会の昨年度事業については、評価委員会により点検評価を受けたところです。改めてこれまでを振りかえり、事業の進捗状況について点検・評価するとともに、これまでのさまざまな教育課題を整理しつつ、引き続きその課題解決に向けて取り組んでいかねばならないと心新たにしています。
新型コロナウィルス感染症の状況は少しずつ落ち着きがみられてきて、三年ぶりの開催という行事も多くみられました。この時期はとても活動しやすい季節であり、【○○の秋】~文化、スポーツ、芸術、芸能~「実りの秋」と捉えて各種団体等においても取り組まれています。
ただ、これまでの経緯からしてもまた、いつ、どのように拡がりがみられるのかわかりませんので、引き続き基本的な感染防止対策をとりながら、「教育活動を止めない」を合言葉で、取り組んでいきたいと思います。
 
2022.10.18(火)学校訪問(牛津中学校)
学校訪問(牛津中学校)
 
◎第48回九州地区人権・同和問題夏期講座長崎大会on-line研修より
※講演「助けて!といえるまち~ひとりにしないという支援~」
奥田知志さん(北九州市)
〇子どもはなぜ自殺するか⇒2020年499人、前年100人増
〇不明52.5%⇒ほかに、家庭不和12.8%、精神障害11.1%、進路問題10.6%、いじめ2.9%
〇大人の要因は、(1)失業(2)人間関係(3)借金(4)うつ病、これらが重なり合っている。
〇背景に今の大人社会の実相がある。
〇大人が「助けて」と言わなくなっているのではないか。他人に迷惑、心配をかけてはいけない。自己責任。甘えてはいけない。みっともない。自分のことは自分で解決しなさいという社会…そんな社会、大人を見ている子どもたち。
〇でも、実は、本当は、私たち大人も、助けてもらっている。持ちつ持たれつ。これからも、そうやっていくべきなのに。
〇自立するためには?一人で何でもやらねばならないのか。⇒依存先を増やす。
助けて!といえるまちへ

◎第33回差別と人権を考える佐賀県民集会より

(1) 講演『私と狭山裁判~元検事はなぜ狭山弁護団に参加したのか~』

壬生隆明さん(弁護士/元直方市長/狭山弁護団)
【参考】狭山事件(さやまじけん)は、1963年(昭和38年)5月 埼玉県狭山市で発生した、高校1年生の少女を被害者とする強盗強姦殺人事件、およびその裁判で無期懲役刑が確定した元被告人の石川一雄氏が再審請求を申し立てている事件。石川氏が被差別部落の出身であることから、本事件は部落差別との関係を問われ、市民権運動の時代に大きな争点となった。これまで3度再審請求の申し立てが行われ現在、第3次再審請求が審理されている。
 
(2) 講演『人の世に熱と光を~水平社創立の思想に学ぶ~』
駒井忠之さん(水平社博物館 館長)
〇差別解消のキーワード…脳は否定形を理解できない
否定形を肯定形に変化、能動的な行動へ
〈例:野球で〉低めの球には手を出さない⇒高めの球を狙っていこう
差別の場合は? 差別をしてはいけない⇒《 》
答えはない。能動的な言葉を言いながら、前向きに捉えていくということが大事である。
 
【参考】水平社宣言100周年【人間の尊厳】
大正11年(1922年)3月3日に全国水平社が創立され、創立大会で「水平社宣言」が読み上げられてから、令和4年(2022年)で100年を迎えました。
「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と結ばれたこの宣言は、いわれのない偏見や差別に苦しむ被差別部落の人たちの思いを世の中に知らせるとともに、すべての人にとって人権が尊重され、自由で平等な社会を実現しようと呼びかけるものです。

*11月(2022.11.24)教育長報告より*

11月は「小城市文化と教育に親しむ月間」。今年の後半ではこれまでにない感染拡大の波がありましたが、文化、芸術、芸能、スポーツ関連の行事も、3年ぶりの開催が多くみられました。コロナ禍以前に近い状況で開催される行事において、私は、活動されている多くの人々の生き生きと輝く姿を直接見たり聞いたりすることができ、人の命の息吹を感じ、心があたたかくなる場面がたくさんありました。改めて、このような活動の必要性を多くの人に伝えたい気持ちになりました。関わってくださった多くの関係者のみなさんには、心より感謝します。
小城市教育研究大会(平成22年度~)も今年度13年目を迎え、各学校の発表も3巡しました。11月9日には発表校(桜岡小、三里小、小城中)においては公開授業、分科会においても、小中の先生方の熱心な意見交流もあり、地道に取り組まれた日ごろの校内研究の成果が見られる貴重な研究大会になりました。また、学校・園訪問では、先生と子どもたちがしっかり向き合い、授業づくりに取り組み、子どもたちが落ち着いて学習に取り組む姿と各学校・園における職員のまとまりを感じました。今後の市内の全小中学校の義務教育9年間の教育実践に大いに期待します。
2022.11.9(水)小城市教育研究大会(桜岡小・三里小・小城中) 2022.11.9(水)小城市教育研究大会(桜岡小・三里小・小城中)
小城市教育研究大会(桜岡小・三里小・小城中)
 
2022.11.19(土)第18回小城市少年少女の声大会
第18回小城市少年少女の声大会

*12月(2022.12.23)教育長報告より*

新型コロナウイルス感染症の状況は全国的にも第8波に入ったともいわれ、佐賀県においても新規感染者数は11月中旬以降増加傾向となり、12月に入ってからもその傾向が少しずつ加速している状況です。しかし、小城市では「教育・保育活動を止めない、停滞させないこと」を合言葉に、感染リスクを可能な限り抑えたした上で、関係者の協力を得ながら、子どもの活動や園・学校の運営を継続してきているところです。
さて、今年の2つの事例を取り上げ振り返ってみますと、まず不登校について、全国調査で令和3年度に30日以上登校せず「不登校」とされた小中学生は、前年度から24.9%の約4万8千人に増え、過去最多の24万4940人だったことが文部科学省から公表されました。初めて20万人を超え、増え幅も過去最大となりました。文科省は、長引くコロナ禍に起因する心身の不調やストレスが影響しているとも分析されています。小城市においても、令和3年度は全国と同じく増加傾向がみられ、大きな課題の一つです。新たな不登校の子どもを出さない未然の取組みを行うとともに、不登校の子どもや保護者の気持ちや意向に寄り添い、関係機関と連携・協力しながら具体的な対応進めていかなければならないと思います。
次に、園児に目を向けると、令和3年7月に福岡県において通園バス置き去り事件が発生し、その1年後の令和4年9月に静岡県で同様の事件が発生し、幼い命が失われるというとても痛ましい事案が発生しております。ただ、いつどこで同様な事案が起こるかわかりません。どこででも起こりうる事案として自分のこととして受け止めて、子どもの所在の確認については改めてチェック体制を見直し、教育委員会、園と保護者間での連携の強化も含め、取り組んでいかなければならないと思っています。
今後も、子どもの尊い命と人権を守り、安全・安心で生活できる教育・保育の環境づくりに、子どもたちの笑顔いっぱいな姿をイメージしながら、教育行政に努めていきたいと思います。
 
2022.12.10(土)じんけんふれあい講演会・作文ポスター表彰式
じんけんふれあい講演会・作文ポスター表彰式
                                令和4年12月28日  
小城市教育長 大野 敬一郎
 

問い合わせ

小城市教育委員会 教育総務課 (東館2階)
〒845-8511 佐賀県小城市三日月町長神田2312番地2
電話番号:0952-37-6130 ファックス番号:0952-37-6167
メール:kyouikusoumu@city.ogi.lg.jp
 

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